攻められたらどうするのだ

 

●北朝鮮か分からないけれど、どこかの国が攻めてきたらどうするのだ。

 

今の首相や周辺のひとたちは、こう言って自衛隊を「軍隊」にしようとしています。憲法にも書かなくては、と言っています。

 

子供のように、「そりゃ大変だ」と思わないで、冷静に考えてください。

 

1.本当にどこかの国が攻めてくることがあるだろうか。

    筆者はどの国であれ、周辺の諸国が国として攻めてくることはないと思います。その理由は、下記の通りです。

 

・どこの国にしても、理由もなく、自国の人々の命と巨額の国費を使って他国(日本)を攻めることはありえません。国際的な大きな非難も受ける覚悟が必要ですから。

(国際的な非難も起こらないほど日本の言動がおかしい、という場合もありえますが、それは起こらないと仮定します。・・・・1945年までの大戦争の時には、日本は1930年頃以降、中国大陸を侵略し続けていましたし、それに加えてインドシナなど南方にも軍隊を送って、世界の大部分の国が日本を軍事的に攻撃することはやむをえないと考えるほどの情況になっていました。)

・周辺の国が日本を攻めるとしたら、考えられる理由は、

(1)過去に日本にやられたから仕返し

 (2)日本がまた攻めてきそうだから、その前にやっつけてしまえ

 の二つしかないと思いますが、どうでしょうか。日本には資源はないし、国土も狭くて、すでに日本人でいっぱいです。

・日本人を皆殺しにして土地をとろうと思うのでしょうか。そんなことは今の国際状況が決して許さないでしょう。(*1)

 

・経済的に裕福な日本を奪おう、日本の工業力を奪おう、というのだったら、日本の社会を壊したらダメになることは、仮想敵国さんもよく分かっているでしょう。だから、そういう理由では攻めてきません。

・いままで、周辺の国が日本を攻めようと言ったことがありますか?ないと思います。(*2)

 

・経済的な競争相手だからやっつけてしまえ、というのはどうでしょうか。そんな理由で他国を攻撃することは今の国際環境は許さないでしょう。

 

でも、やたらに儲けるだけではなく、普通のレベルで暮らしている人々や裕福ではない諸国のことも考えて、ということは重要だと思います。現在の世界状況は、この点が問題だと思います。世界の5%(2%?)以下の人が世界の富の50%(80%?)以上を所有しているのは、どう見てもおかしいと思います。本来収めるべき税金を逃れるタックスヘイブンなどは論外の悪事だと思います。この6行は周辺国ではなく、資本主義の経済大国(日本も含まれる)にあてはまることです。

 

・政府としては攻めないけれども、狂気の集団が武器を持って攻めてくる可能性はあるかと思います。本来は、それは当該の国の政府が抑えるべきことですが。でも、そういう集団は千人以上にはならないでしょう。ですから、1000人程度の武装集団を抑えるだけの武装があればいいのだと思います。今の自衛隊は約20万人です。削減して、近隣の外国が脅威を感じないようにすることが日本の安全を高めることになると思います。

・1000人程度の武装集団に対処する「実力組織」(鉄砲を持った部隊や、戦車などの大きな武器を装備した組織を「実力組織」と呼びます。)は、近隣諸国に攻め込もうとする日本の暴徒集団を抑えるためにも必要でしょう。これは「軍」である必要はありません。自衛隊で十分ですし、警察隊でもいいでしょう。

・日本にある米軍基地は、いまのような好戦的内閣のときには、日本が近隣諸国に攻め込むことを防ぐために存在するとも言えます。韓国や中国は、日本には米軍基地があるから、日本がまた攻めてくることはないと安心していることと思います。情けないことですが。

 

(*1)過去の1930年代から1945年までの間、日本軍は中国に侵攻して、住んでいる人々を、軍人、民間人の区別なく皆殺ししようとしました。そういう命令を受けて何の罪もない人を殺し、戦争が終わった後も一生の間苦しんだ日本兵の記録が幾つも残っています。南京事件や殲滅作戦(中国側からの呼び名は三光作戦)がその代表的なものです。

(*2)上記のように1945年以前に日本が韓国(朝鮮半島)や中国に攻め込んだことは隠しようのない事実です。今の政権はもう忘れよう、と言っていますが、もし日本が攻め込まれていたら、逆の立場だったら、あなたは忘れることができますか?

    相手の立場になって考えてみることは、非常に大切なことです。

 

2.日本に軍隊が必要か

上にも書きましたが、軍隊や自衛隊のように銃や大砲などの軍備を持つ組織を法律的には「実力組織」と言いますが、このメモでは「軍」、「軍隊」と書くことにします。

軍を持つ、日本に軍を作る、ということは、単純に攻めて来る外国軍に対抗するため、だけではないことに注意を向けてください。軍は、武器を持った巨大な組織です。その制御を失敗すると武器を国内、日本人に向ける危険があるのです。

日本は1930年代に中国で戦争を開始し、1941年には米国など世界中を相手に戦争を始めました。そして1945年に悲惨な大敗戦を経験したのです。これら1945年までの戦争は日本軍が中央、政府の指揮に従わずに勝手に始めたことが原因でした。軍は天皇の指揮に従うことになっていましたが、天皇は軍の反乱を恐れて、指揮違反の責任追及すらしませんでした。一度勝手を許したら、もう制御はできません。そのうちに軍人が内閣を牛耳るようになって、勝つ見込みのない戦争に突き進んだのです。

 

筆者は1945年までの反省なしに日本に軍隊を作ることは非常に危険だと思います。1945年までの日本軍国外もとより国内でも気に入らないひとびとを虐待し、暗殺した国立暴力団だったからです。そのうえ、70年経った今に至っても、その反省をしていないからです。反省なしに軍を作ったら、同じことが起こるでしょう。いまの安倍首相やその周辺のひとびとは日本軍が暴力団行為をしていた戦前、戦中を「美しい日本」といい。「日本を取り戻そう」と言っている集団なので、なおさらです。怖いのは外国ではありません。日本の、自国の軍隊、そして軍国主義が怖いのです。

 

・ここでは1945年までの日本軍を「軍」と書くことにします。

・上記のように1945年までの間、日本(の政府、国会)は軍を制御できませんでした。

・1945年までの日本の軍隊がどんな悪事を重ねたか。もしかすると、それを知らないから、日本に軍隊があってもいいではないか、と考えておられるのかもしれません。1930年ころ以降、軍や右翼といわれる人々が首相や大臣を暗殺したり、平和を言う軍に反対のひとびとを監視、虐待、暗殺していたのです。

・2.26事件、5,15事件がその代表的なものです。検索すると出てきますので、調べてみてください。原首相暗殺や浜口首相暗殺未遂などの事件もありました。

・これらの事件を見て、軍に批判的な大臣たちは暗殺されることを恐れて、軍に反対することをやめてしまいました。日本軍は国立の暴力団になってしまったのです。

・明治憲法は「天皇のための国」が基本的な土台であり、国民のための国ではありませんでした。天皇が国民のことを思うはず、という仮定に基づいていたと筆者は思いますが、結果を見ると天皇が国民のことを思うことはありませんでした。(もしかすると、天皇としては国民のためと思ったのかもしれませんが、実際には多くの国民(*3)に悲劇を招く判断をしていました。1945年の大敗戦がその証拠です。)

・実際、軍がやったことを見ると、天皇を守ることが軍の仕事であり、国民、大衆、庶民を守ることは軍の仕事に含まれていませんでした。そのひどい例を2つ:

1)満州ではソ連軍が攻め込んできたとき、何十万と言う日本の民間人を置き去りにして、軍だけ先に逃げたのです。20万人以上が引揚げの途中で亡くなりました。

2)沖縄での激しい戦争(戦闘)のとき、日本軍は沖縄のみなさんを助けるどころか、女子までも戦争に駆り出し(ひめゆり部隊)、民間人(非軍人=非戦闘員)を軍の前に立たせて人間の盾として軍人より先に敵に殺されるようにすることまでしたのです。沖縄の皆さんは米軍が上陸した時、日本軍から助けてもらったと思った、と書いてある資料も見ました。

これが1945年までの日本軍です。

 それでも、「天皇のための軍」としては間違っていなかったのです!!国民を守ることは軍の仕事に入っていなかったのです。一人の軍指揮官も処罰されてはいません。なんということでしょうか!!

・首相も、自民党も、政府のだれひとりも、上記のことがあったことを言いませんし、今後は二度と同じ過ちは繰り返さない、とも一言も言っていません。この状態のまま「軍」をつくっていいのでしょうか。

・軍は中国など諸外国で住民のひとびとを虐待、殺人しただけでなく、国内でも気に入らないひとびと(政治運動家、作家、政治家、実業家などはばひろく)を虐待したり暗殺していました。

・われわれ庶民、大衆(*3)にとって、怖いのは外国ではなく、日本の、自国の軍隊なのです。

・繰り返しますが、日本は1945年までの戦争について、どうしてあんな戦争を始めたのか、そして、どうして負けたのか、という総まとめ、反省をいまだにしていません。その反省なしに日本に軍隊を作ったら、昔と同じことが起こる可能性がきわめて高いと思います。

・上記1、の外国から攻められるかもしれないという可能性と、ここに書いた軍隊の危険性を比較して、マイナス面の方がはるかに大きいと判断します。

・これが日本に軍隊を作ることに反対する理由です。

 

・2018年4月17日に報道されたことですが、自衛隊本部(東京、市ヶ谷)の幹部のひとが国会議員に「おまえは国民の敵だ」と激しく罵倒したそうです。1945年までの軍隊の考え方が残っている証拠だと思います。気に入らない作家や政治家をつぎつぎに虐待、暗殺していたころと同じことだと思います。殴ったり、殺したりしなかったのは救いですが、ちょっとの違いで暗殺にもなったでしょう。

筆者は4月17日に報道されたこの事件はとてつもなく深く重く大きく、怖いものだと思っています。まさかと思っていたのですが、いまだに自衛隊のなかでは日本人として必要な教育がなされていないことが明らかになったのだと思います。民主主義、そして憲法の最大の思想である平和主義が自衛隊員には教育されていないとは。恐ろしいことだと思います。

・この事件でも分かるように、自衛隊は出来るだけ低いレベルに抑え込んでおかなければ将来が危険だと思います。防衛省ではなく防衛庁に戻すべきだと思います。あのような発言が出るということは、日本の社会として必要な教育が自衛隊の中で教育されていない、ということです。ここにも、1945年までの戦争の反省がおこなわれていないことが如実に証明されていると思います。

(*3)「国民」とは何を指すのでしょうか。その国にいる人全部を意味する、というのが自然な解釈です。しかし、いまの政権の言動を見ていると、「国」=「政権」であり、「国民」は政権を支持する人々のみを意味する、としか考えられません。そのため、このメモでは、「国民」と言う語を避けて「庶民」あるいは「大衆」と言う語を使うことにします。

 

3.戦争したら日本は勝てない

日本だけでなく、どの国も、米国ですら、これからの世界では戦争して勝つことはありえないと思います。イラクやアフガニスタンで世界一の戦力を持った米国が勝てないのです。米国本土は戦争の被害を受けていないように見えますが、実は、イラクなどに派遣されたあと帰国した帰還兵の中から毎年7000人以上の自殺者が出ています。約1時間に1人の割合です。それを知っていて戦争を継続しているのですが、日本もそういう国の仲間に入るべきだと思いますか。

・これからの世界では、どの国も勝利というものはないと思いますが、日本特有の勝てない理由があります。それは組織管理、情報管理の問題と地勢的な特性と2面あります。

・最近明らかになった自衛隊の日報についての取扱いに典型的に出ていますが、情報の管理が正常に行われていません。情報なしで戦争することはできません。ただ武器を持って出かけるだけで、自殺行為にしかなりません。

・また、不都合なことが判明した時に責任が明確にならず、責任者への正当な処罰も行われていません。

・責任者を明確にせず、重大な過失をした幹部でもなんの処罰もしない、ということは1945年までの日本軍でやっていたこととそっくり同じです。同じ過ちを犯して再び負けることよりも、幹部たちの、中枢部の中の仲良し関係を大事にしているのです。

・責任不明確、不処罰は、現場のひとびとのやる気を大幅に削いでしまいます。いまの官庁ではそういう状況ができているのではないでしょうか。

・現場の正確な情報なしに、幹部、中枢が勝手に指令をだすことが行われています。これも過去の軍隊と同じです。イラクでは至近距離で爆発があって命の危険を感じているときに、東京では「自衛隊のいるところが非戦闘地域だ」などという無意味な議論が国会で行われていたのです。

・いくら立派な武器をそろえても、この体制では戦争をすることは不可能です。勝てません。

 

・日本の地形を見ても、日本が戦争に勝てるとは到底思えません。

・日本は南北に細長い地形で、幅は広いところで200km位しかありません。いまは射程200kmのミサイルはどこの国も持っています。日本の海岸から100km離れた遠方から、日本のどこでも簡単に攻撃することが出来ます。日本には敵が攻撃しにくい「奥地」はないのです。

・軍事力で守るとしたら、敵の第一撃では攻撃されない「本土」があって、敵との中間に戦いの場となる「緩衝地域」が必要です。明治から昭和初期の日本はロシアに対抗するための緩衝地域にしようとして、朝鮮半島に進出し、ついで中国の東北(満州)にも進出したのです。いまはそんなことは不可能です。

・米国は万が一の時には日本を戦場として米国本土を守るのが基本作戦だと書いた本もあります。たぶん、本当でしょう。

・昔だったら、日本にはエネルギー資源がないし、食料も沢山はないので、戦争で輸入を遮断されたら半年しかもたない。だから、勝つことはできない、と書くところですが、よく考えると、そんな悠長なものではありません。

・もしも戦争になったら、筆者が敵だったら、初日に日本の海岸に並んでいる原発を爆撃し、鉄道や高速道路、そして石油備蓄基地を攻撃します。好都合なことに、こういう重要施設は全部、攻撃しやすい海岸に並んでいます。

・こういうことを考えても、戦争に勝てると思いますか?

 

・米国が付いているから大丈夫だ、と思っていますか? それほど米国を信用できるでしょうか。もしも戦争が起こったら、米国にとっては日本の人々がどうなろうとも、米国の人々の安全を優先します。あたりまえですが。そして、これからの戦争は日本だけということはなくて、米国も含めた世界中が巻き込まれる戦争です。

・米国と中国は、日本の多くの人が考えている以上に近いのです。まず、多民族の社会という面では両国はそっくりです。広い国土と言う点も同じです。日本はこの2つの面では違います。中国の幹部の子弟の多くは米国の大学を出ています。そう言う面では日本より近いと言えるかもしれません。米国が作った大学も中国に沢山あります。さらに、筆者が知っている科学技術の分野では、米国の研究者、技術者の中国出身のひとびとが半数以上を占めています。優秀な研究者と言う意味では米国の研究者の8割が中国人と言えるかもしれません。こういう状況を考えると、将来何があっても米国と中国の戦争は起こらないのではないかとも思えます。

・日本の地形では勝てない、ということは明治時代から分かっていました。当時の脅威であったロシア(1917年以降はソ連)に備えるために、本国だけではだめなので、朝鮮半島に攻め込み、満州までも占領したのです。太平洋側では、1941年の戦争開始の直後に遠い南方まで占領して、日本本土に直接敵が近寄れないようにしました。

 今はそんなことはできません。すなわち、日本は戦争になったら負けるしかないのです。これを心に留めておいてください。

・いろいろなことを考えても、もしも本当に戦争になったら、日本が勝つ可能性はゼロだと思います。インタネットの動画などで、いかにも勝てるようなものが沢山ありますが、本当なのか、よく考えてください。

・勝てない戦争のために多くの予算を使い、人材を投入することは、避けるべきです。

 

4.国を守るのは武力、戦力ではありません。

  国を守るのは叡智です。

・国を守るのは戦力ではありません。英知、叡智、智慧です。

・戦争になるような状況を事前に回避する智慧、叡智が国を守るのです。

・戦争になってしまったら、日本中が廃墟になってしまいます。日本が勝てる状況ではありません。もしも万が一勝ったとしても、そのとき、日本中が廃墟になっているでしょう。イラクやシリアの状況をインタネットで見てください。すべてのビルが破壊されて、人々はすめなくなっています。あの状況でどちら側が勝ったと思っているのでしょうか。

・戦争になってしまったら、敵も味方も、勝ちはありません。

 

・戦争は、攻められたときに対抗して戦争行為を行うから戦争になるのです。

 反抗の戦争行為を行わない住民を殺し、傷つけるようなことがあったら国際社会が許さないでしょう。中東ではかわいそうにそう言うことがあるのですが、日本がそのような目にあったら、きっと国際社会の反応は違うと思います。

・上記の妥当性を議論するよりも、戦争を事前に回避すること叡智を絞る方が大事です。

・ご存知でしょうけれど、コスタリカでは1949年に国が持つ軍隊を廃止してしまいました。そのため、あの争いで満ちていた中南米のなかで、平和を維持することができたのです。それだけではなく、争いが起きそうになると、その仲介を積極的に行い、国際的な信頼を高めたのです。(2018年4月21日の朝日新聞 参照)

 

5.戦争はつくられるもの

・「戦争になる」、「戦争がはじまった」などとよく書きますが、戦争は作られるものなのです。そうです、誰かが戦争を作るのです。戦争を起こす人々は、多くの人が死んだり傷つくことをなんとも思っていません。誰が何人死のうとも、自分が満足ならば、金を沢山儲けることが出来れば、それでいい、と思っているのです。人を殺して金儲け、そのものです。

・首相や大統領、昔の領主、将軍など、権力の座にいる人は、戦争になれば自分への支持が確実に上がるので、支持を増やすためにわざと戦争が起こるように仕向けることはずっと昔から行われてきました。

・兵器を作っている会社(兵器産業)は戦争で兵器が売れなければ困ります。

・新聞も戦争があると新聞が売れるので、新聞社が戦争を煽る記事を沢山書いて戦争を引き起こしたこともあります。18世紀の米西戦争(フィリピンをめぐるスペインと米国の戦争)は新聞王と言われたハーストが起こした戦争と言われています。

・上記のような、戦争をわざと起こそうとするひとびとや集団の誘導に騙されてはいけません。

・人を殺して金儲けしたり、政治的な利益を得たりするひとびとの巧妙な言葉にのせられてはいけません。

・「誇りを守れ」というような巧妙なことばで、戦争を起こそうとする集団、人を殺して金を設けたり、自分たちに好都合な社会にして甘い汁を吸おうとする鬼畜の言うことに騙されてはいけません。

 

6.戦争は「平和のため」と言って始められる

・戦争はかならず平和のためと言って始められます。過去の日本はアジアの平和のためと言って韓国、中国に攻め込み、ドイツのヒットラーは世界平和のためといって周囲の国々に侵攻しました。ヒットラーの演説には平和と言うことばが沢山出てきます。

・過去の日本は、アジアを西欧の支配から解放するといって朝鮮半島や中国に攻め入りましたが、大事な韓国人や中国人を蔑視し、現地の人々を虐待、誘拐、殺すことになんのためらいもありませんでした。戦争に負けて中国で捕虜になった日本の軍人たちには、現地の人々に悪いことを下と言う感情さえ全くありませんでした。

・1945年までの戦争では大学生も学徒動員と言って戦地に送り込まれました。上記のようにアジアの解放のためと言われ、それを信じて軍に入った大学生たちは、すぐに嘘に気づきました。それを書いた手記が沢山残されています。(「聞けわだつみの声」など)

 

7.戦争は経済的に大損失

・軍隊を持つことがどのくらいの経済負担なのか、ご存知でしょうか。下の図はインタネットで検索して出て来たものです。2016年ですが、日本は世界第8位、1年に約5兆円も自衛隊や米軍基地のために使っています。

 この5兆円で教育無償化は楽にできますし、老人たちへの年金も増やすことができます。みなさんが毎月、毎年支払っている税金をどちらに使うべきだと思いますか。(「どちらに使ってほしいですか」と書きかけましたが、そのような受動的、他人任せの心はよくないと思います。政府はわれわれのもののはずです。われわれが使いたいように税金を使うのが政府の役目です。)

 

軍事費

・実際、軍事費は巨額です。1978年から1987年まで10年間、ソ連はアフガニスタンに侵攻しましたが、現地に比べて圧倒的な戦力を持っていたのに勝つことはできませんでした。そのための戦費はソ連の経済に大きな負担となり、ついに1991年にソ連圏の崩壊に到りました。

・過去の日本では、中国の満州に進出して農業と鉱山資源の獲得を目指しましたが、1945年の大敗戦まで15年間に日本本土にプラスとなることは結局ありませんでした。満州に今でも使われている多くのビルを建設するなど、巨額の投資をしただけ、日本の本土には何の利益もなかったのです。そして、そのために百万人を優に超える人命も失ったのです。中国のみなさんの死者の方がはるかに多数で1000万人以上と言われています。

 そんなに大きな被害を与えて、日本には得るものがなにもなかったのです。そういうことを再び繰り返したいですか?

・戦争好きが明白なのに今の政権を支持している理由は、経済的には今の政権でいいじゃないか、と思っているからでしょう。けれども、自衛隊を強化したり、軍隊を作ったら、巨額の予算が軍のために必要になって、経済は衰えます。

・軍需産業は儲かる、という人もいるでしょうか。それでいいのですか?われわれの日々の暮らしが貧しくなっても、あなただけが儲かればいいのでしょうか。

その前に、われわれの汗の税金を破壊と殺人のために使われて、なんとも思いませんか? 破壊道具と殺人道具を売ってもうけた金に喜んでいるのですか? ベトナムなどではいまだに地雷に被害が続いています。地雷を作って売った会社のひとびとは何を今思っているのでしょうか。

・1945年までの戦争は日本の経済にとって、大きすぎる負担でした。最後の頃には、新しく徴兵されてソ連の寒地に派兵された兵隊たちは数人にひとつの銃しかなく、水筒はなんと竹製だったそうです。戦争ごっこの子供たちのような装備の軍隊だったのです。それほど戦争は経済的に大きな負担なのです。これには輸入が封鎖されていたから、と言う理由もありますが、もし輸入の道があったとしても買うだけの資金がありませんでした。

・1945年の敗戦の後、日本は驚異的な復興をして、世界で2,3番目と言うほどの経済大国になりました。日本人の努力が大きかったのは確かですが、その間に軍事費をほとんど出していなかったことが大きな要因です。

・もしも日本が軍隊を持ったら、どうなるでしょうか。経済はもう大きな発展は望めない状況です。そのときに、生活改善には全く野に立たない軍事に大きな予算を向けることになります。それを考えても日本が大きな軍事力を持つべきだと考えますか?筆者は、軍事費は無駄だと思います。予算は生活の向上に使うべきです。

 

・2018年4月に米国と、英国、フランスがシリアに合計105発の。巡航ミサイルを撃ちこみました。巡航ミサイルの値段は1機1億円以上です。ミサイルの代わりに、シリアの社会に100億円の経済援助をしたらどうなったのでしょうか。破壊されたビルを直し、あるいは住居を作ってあげるほうがミサイルで破壊するよりずっといいはずだ、とは思いませんか。

・中国には勝てる、というような動画などもインタネットに沢山出ていますが、ここに示した予算の表を見て、どう思いますか?予算額と強さとは違うとは思いますが、予算額が5倍以上違うのです。物価は中国の方が安いでしょうし、中国には軍事関係は普通の物価より10倍も高い、というような米国や日本のような事情はないでしょう。実質の予算額は10倍くらいあるのではないでしょうか。中国には資源もあるし、いくら攻めても攻めきれない「奥地」があります。これに対抗するような軍事力を持つには、日本はどれだけ民生用予算を削らなければいけないのか、考えてみたことはありますか?

 

・20万人の自衛隊で5兆円。一人当たり1年に2500万円です。こんな大金を使う組織は他にないでしょう。筆者がいた研究組織は例外的に大きな予算の研究所でしたが、それでも一人あたりは1年に500万円程度。会社や大学ではさらに1桁予算が少なくて、一人当たり1年に50万円くらいでしょう。

・どこの国でも軍事費は考えられないほど高額なのですが、それほどの大きな予算すなわち税金を殺人や破壊だけの目的に使うのは、税金を支払う身として、おかしいと思いませんか。

 

8.人を殺してでも得たいもの、守りたいものとはなにか

  ・中国や韓国、ロシアなど周辺の国々と戦争して得たいもの、守りたいものは何ですか?

・日本国民の命と生活、という答えですか? 戦争すると何万にもの兵士が死ぬことになります。それで国民の命と生活を守ったと言えますか?自衛隊の人の命は構わないのですか?自衛隊だけでなく、徴兵されるもっと多くの人の命が危険にさらされます。

・もっと多くの国民の命を救うためだから、自衛隊や徴兵されたひとの命はしょうがない、というのでしょうね。それでいいのでしょうか。

・戦争とはそういうものだから、という根拠、理由付けしかないと思いますが、どうですか。

・それこそが、決して戦争をしてはいけない、という考えの理由のひとつです。

・過去の戦争では、軍人と民間人(戦闘員と非戦闘員)を区別して、非戦闘員、民間人は戦闘の対象にしてはいけないというルールがありました。しかし、いまは銃で弾を打ち合うのはごく一部分で、爆撃やミサイルで戦闘員と非戦闘員の区別などなしに殺し合うことが普通になっています。

・戦争をしたら、軍人だけでなく、その何十倍ものひとびと、民間人の命を危険にさらすことになるのです。戦争をしなければ、という状況になる前に、叡智によって戦争を回避すべきなのです。

・そういう戦争はなんのためにやるのでしょうか。多くの兵隊は、職を得るために軍に入り、上官に命じられるから銃を撃ちミサイルを発射しているだけなのでしょうけれど、自分のした行為の結果が人殺しと破壊であることをどのくらい意識しているのでしょうか。

・ひとびとが何世代にもわたって積み上げてきた建物や文化を破壊し、人を殺して、その代わりに守ろうとしているものはなんなのでしょうか。

・個々の兵にこの質問をするのは酷だとしたら、上官はなんのために兵に殺人と破壊を命じるのでしょうか。

・「国を守るため」というのが一番ありうる答えでしょう。ここで思考を止めてしまってはいけません。

・そのときの「国」とは何を意味しますか?

・「国」が、多くの一般庶民、徴兵されて戦闘しなければいけない人々を指すことはないですね。自分にとってマイナスなことのために、自分が死ぬかもしれない場所に行って危険に遭おうとする人はいないでしょうから。

・政府や軍隊が、戦えというから。それに従わなければ逮捕され、もしかすると死刑になるから。これが答えでしょう。

・では政府や軍隊は、どうして自国の多くの人々を兵隊にして殺そうとするのでしょうか。敵国の兵を殺そうとするのであって、自分の兵を殺そうとはしていない、などと言うでしょうけれど、戦争では片方だけが死んで、相手側はだれも死なない、などということはありません。自分側の兵隊が何人も死ぬことを覚悟して、戦争しろと命じているのです。何のために?

・「国」にとって利益のあることだからです。

・だから、「国」と兵隊とは別物です。戦争に巻き込まれて多くの民間人も殺されますが、「国」はそれも知った上で戦えと言うのです。ですから、「国」と多くの民間人とも別物です。

・ここでは、ひとは自分の利益にならないことのために自分の命を危険にさらしたり、場合によっては本当に死んでしまうようなことは決してしないということを土台にして、「別物」と判断しています。

・1945年までの戦争では、お国のため、天皇のために死ぬことは名誉なことだと教育されて、百万人以上の日本人が死んでいったのですが、死ぬ瞬間までこれで満足、と思っていた人がいるでしょうか。大部分のひとは自分の利益にはならないことに命をとられて、無念と思ったのだろうと思います。自分とはまったく「別物」のために命をとられたのです。

・1945年までの大戦争で亡くなった大勢の方々は、何のために命を失ったのでしょう。そこをよく考えてください。あなたは同じような死にかたをしたいですか?

 

・国を守るために戦え、というときの「国」とは、首相と兵器産業界を指すのだろうと思います。戦争になれば、自国が負けるのはいやだから、その時の政権、首相とその周辺への支持は高まります。また、戦争になれば武器産業は確実に儲かります。また、戦争を報じる新聞などのマスコミも売り上げが増えるから、マスコミも戦争で儲ける集団に含まれるかもしれません。これは是非とも避けたいことですが。(過去には、新聞の売り上げを伸ばすために米国の新聞が戦争を煽る記事を書き続けて、本当に戦争が起こったという歴史もあります。)

・戦争をして儲けたり、政治的な利益を得ようとする一部集団、すなわち「国」の口先、誘導にのせられてはいけません。

 

・2018年4月24日に下村元文科省大臣が「メディアは国をつぶす」と発言したと報道されました。まさに上記で筆者が推測した通り、政府、権力の座にいるひとびとは「国」とは自分たちこと、すなわち、政権の座にいる集団とそれを支持する集団のことだと考えていることを明確に示した事件だと思います。

・書くまでもないですが、メディアの仕事は政権を批判することです。とくに現在のような「うそつき政権」の時代には、幅広い民衆、大衆のための政治をさせるように、民衆、庶民に嘘でない事実を知らせることがメディアの重要な仕事です。

 

9.誇り、正義、文化、伝統 を守るための戦争 ?

・戦争を起こしたいひとびとが使う言葉に注意して下さい。「日本の誇り(あるいは、正義、文化、伝統など)を守るために命を懸けて戦え」と言います。冷静に彼らが言う誇り、正義、文化、伝統とは何なのかを確認しないといけません。

・直感的に、ああそうだ、などと思わないで、誇りってなんだろう、と考えてください。本当にそのために多くの人々が命を落とすような、そんなに大事なものなのでしょうか。

・戦争を起こそうとするひとびとは、「誇りを守るために戦え」、「正義の戦いに参加せよ」、「日本文化を滅ぼす敵をやっつけろ」、「日本の伝統を守るために命を差し出せ」と言います。このような言い方を使うのが、どこの国でもよく行われています。

・こういう言葉を聞いたら、戦争を起こそうとしているな、と注意しましょう。

・「(世界の)平和を守るための戦い」いうこともよく言われることです。彼らの言う「平和」という言葉に注意しましょう。それがなにを意味しているのかよく確かめることが大事です。ナチス・ドイツのヒトラーの演説にはいつも「平和」という言葉が何回も使われていました。

 

以下に、上記のいくつかの言葉についての筆者の考えを書いてみます。これをうのみにしないで、あなたが自分で考えてみてください。

「誇り」:自分がある団体や集団の一員であることだけを偉いこと、すごいことだと思うことを誇りと言うのだと思います。自分が偉いと思うということは、ほかの人は自分より劣っている、と思うことを意味しています。そうではありませんか? 日本人としての誇りを守れ、そのために外国人をやっつけてもかまわない、ということになります。

  百歩譲って、誇りということばを受け入れるとしたら、敵の人々にも彼らの誇りがあることを忘れてはいけません。

  お互いに誇りに固執したら、戦争になることは明らかです。

  動物に比べて、おれは人間だから、人としての誇りを守って野獣のようなことはしない、というように誇りを使うのならば有意義でしょう。個人としての誇りはあり得るけれど、○○家の誇り、とか○○学校の誇り、まして民族の誇り、などは戦いをけしかけるための言葉だと思います。昔は家(家族、家系)の誇りを守るために家と家の戦いが行われていました。野獣ではなく人間だ、という「誇り」以外は、不自分が所属する団体(国なども含めて)以外の人々を蔑視する、いやらしい言葉だと思います。

   

「正義」:「正義の戦い」ということばはよく使われています。しかし、なにが正義なのでしょうか。大統領や首相などがこの言葉を言うときには、その人の考え方、主義、政策が「正義」なのです。

  昔、スペイン人が南米の原住民(インカなど)を蹂躙、殺害しましたが、スペイン人の「正義」は、邪教の人々を排除してキリスト教を広めることでした。インカの人々から見たら、そんな正義はあり得ないのです。

  アレキサンダー大王のインドまで達する遠征は、ヨーロッパから見たら良いことですが、ペルシャやインドなど征服されたひとびとから見たら、正義の戦いなどでは決してありません。

  単純に「正義の戦いだから良いものだ」などと思わないでください。

 

10.戦争をけしかけるひとびとがよく使う言い方

・いままでの記録を見ると、戦争を始めようとし、戦争をけしかける人々がよく使うことばが分かります」のように、平和と言う言葉は、かれらが好んで使う言葉です。

・ドイツのナチス(国家社会主義ドイツ労働者党、ヒットラーが党首)のゲーリングはこんなことを言ってます

イ.国民は指導者たちの意のままになる。それは簡単なことで、自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい。

ロ.平和主義者たちに対しては、愛国心がなく、国家を危険にさらす人々だと批判すればいいだけのことだ。

・今の政権が北朝鮮のミサイルを脅威だとして騒いでいるのは、上記のイ.なのです。肝心の韓国はミサイルに対してまったく騒いでいません。

・戦争を作ろうとする人々の巧妙な言葉に騙されないようにしましょう。

 

11.戦争をけしかける人々は被害を受けない

現在の安倍政権は、北朝鮮のロケットや中国船が尖閣諸島に来ていることを大げさに宣伝して、危機感を煽り、戦争準備をしなければ、という機運を人々の中に作り出そうとしています。このような言動に惑わされてはいけないと思います。

戦争をけしかける人びと、戦争準備を進めなければと言う人々は、自分が戦場に出ていくことがないひとびとです。現在の政権を支えている日本会議などのグループは、自分たちに戦争の被害が及ばないことを知っていて、他人に戦わせて、自分たちは武器が売れて儲かる、あるいは戦争を指導して政治的な利益を得ようと(戦争に勝てば、ですが)しているのです。

1945年間までの大戦争の指導者、首謀者のひとりは安倍首相の叔父の岸信介でした。1941年以降の太平洋戦争の首謀者は東条英機でした。東条英機は、「負けても敵につかまって捕虜になるな。捕虜になりそうになったら自殺しろ。」という”戦陣訓”を作ったことで有名です。他人には自殺しろと言って、そのために何万人もの日本兵が投降せずに戦死したのです。が、1945年にポツダム宣言を受け入れて敗戦したあと、東条はどういう行動をとったでしょうか。米軍(占領軍といいました)に逮捕される直前にピストル自殺を図ったのですが、失敗したのです。東条自身は自殺もできなかったのです。生への執念を断ち切れず、自分の頭にちゃんと銃口を向けることができなかったのです。なんということでしょうか。「捕虜になるな、自殺しろ」と言う戦陣訓のために戦死した何十万の人々は、完全にばかを見たのです! 日本軍の上層部は、こういうことも70年経っても一言も触れないのです。誤って済むことではないのですが。大事なことは、こういうことも反省してないまま、軍を作ったら、同じことが繰り返されるに違いないという点です。特に、現首相や、現首相に大きな影響を与えている日本会議は、軍国主義の時代に戻りたいという思想を持っているのです。

 

12.攻められても、あえて戦争しない・・・・

この節では、おそらく大多数のみなさんには賛成していただけないと思うことを書きます。実のところ筆者も、こうは言ってみたものの、実際にそうなったら、どうなのだろうか、本当に多くの皆さんにとっていいことなのだろうか、と思っています。

それは、もしも、万が一、どこか他国から攻められても、軍事的な対抗行動をとらないようにしよう、という提案です。

やられたら、やり返すのが当然だ。やられっぱなしなんて、恥だ。と思うのが普通です。この普通の心理を利用して、「国」は戦争を引き起こすのです。

「しゃくだ、くやしい」という感情を忘れて、冷静に考えてみましょう。

 

1)反撃しなかったら、どうなるか。

小さな村や島だったら、皆殺しされる可能性があります。でも、大きな都市や地方、国だったらどうでしょうか。全員が殺される可能性は低いでしょう。でも、その地域、国は他国の支配下にはいり、生き延びたひとびとも他国の支配を受けるでしょう。日本の文化も圧迫、迫害、禁止されて消滅するかもしれません。

武力を使った反撃をしないので、敵もひとびとを殺す必要がなく、戦争状態にならない可能性があります。命を落とす人の数が非常に少ない可能性があります。

2)反撃したら、どうなるか。

こちらも侵略者と同じような武器で軍事的な対抗行動をとったら、うまくすれば敵を撃退できるでしょう。敵が引き上げず、もっと強力な軍事力で攻めて来る可能性もあり、最悪の場合には、原水爆も使われて多数の死者がでることになります。日本が壊滅する可能性もゼロではありません。

1)と2)と、どちらがいいのでしょう。人の命だけを考えたら1)の無抵抗主義が良いことになります。そういう主張をしていた人、している人も沢山います。インドのネールは無抵抗主義で有名なひとです。

人命よりも日本固有の文化を守るほうが大事だと考える人たちは、最後まで、日本人が全部死んでしまうことも覚悟して戦うでしょう。

これを読んでいるあなたは、どちらを選びますか。まだ答えを出さないで結構です。よく考えてください。

A.無抵抗

いままでに無抵抗だった例があるでしょうか。。。それがあるのです。しかも日本が関係した例です。3つの例を挙げてみます。

] 南洋諸島:日本海軍が南洋諸島に攻め込んだ時、これらの国は対抗するような軍隊を持っていませんでした。戦争(戦闘)なしに日本領土に繰り込まれました。そして、日本軍も住民にひどい虐待はしなかったようです。相手が戦わなければ、戦いようがないのです。パラオがその例です。いまでも親日国です。(日本軍が攻め込んだ、というよりも、第1次大戦の結果、ドイツ領だったこれらの諸島が日本領になったのです。)

 でも、1940年代に太平洋戦争が起こると、太平洋の多くの諸島で日米間の激しい戦闘が行われ、住民も巻き込まれて多くの死傷者が出ました。そのころ日本軍住民を虐待していました。(パラオは激しい戦闘の地域には入っていませんでした。)

] 日本が負けたほうの例:この例が大事だと思います。それは沖縄の激しい戦闘と2つの原爆のあとにポツダム宣言を受諾して、九州以北の日本が占領軍に占領された時です。このとき、米軍は日本軍の激しい抵抗、ゲリラ戦を覚悟していたということです。ですが、一発の銃弾も占領軍に向かってきませんでした。(よく調べると、ごく一部では僅かに抵抗があったようです。)その結果、筆者の世代は知っていますが、アメリカ軍はやさしい、という印象をほとんどすべての日本人がもちました。米軍(占領軍、進駐軍とも言いました)による殺人や暴力も基地の周辺などではかなりありましたが、全般的には占領軍は規律が取れていて、米軍による日本人虐待、虐殺というようなことは起こりませんでした。

] ほとんど無抵抗だったのに:::1930年ころから日本軍は中国侵略を進めていました。その頃の中国は清王朝の末期で、国としての統治も非常に不十分で、日本の侵略に対抗して戦う正規軍隊も形だけでほとんど無抵抗でした。中国はゲリラ戦で日本軍に対抗しました。ゲリラのメンバーと住民との見分けは困難です。そのため日本軍は住民を虐待し、片端から連行、殺人を続けていました。1945年までに約2000万人の中国人が死亡しました。(詳細な内容や死者数は不明です。記録もないのです)

 

上記のような実際の例、経験をもとに、ひとつ言えそうなことは、無抵抗だったら、いかに強力な軍隊でも住民を虐待、殺すことはできないようだ、ということです。(でも、例外もあります。残念ながら、これも旧日本軍が実際に行ったことですが、無抵抗の住民を皆殺しにしろ、という命令が中国全土やそのころ(敗戦がはっきりした1943年以降?)の日本の占領地域で出されました。この命令で無抵抗な住民を殺した兵士たちが、20年、30年後にも後悔の念に苦しむ様子が記録にもあります。PSTD−心的外傷後ストレス障害−です。)

将来もしも韓国や中国が日本に攻め入ってきたときに、無抵抗だったらどうなるでしょう。希望的には、抵抗がないので軍隊もどうしようもなく、虐待されることはない、という可能性もあるでしょう。反対に、過去に日本軍に虐待された記憶があるので、無抵抗でも復讐として日本人を虐待、殺す可能性もあります。どちらだと思いますか? ここで、筆者の甘い希望的予想をかきますと、中国、韓国も無抵抗の日本人には虐待はしないだろうと希望しています。そのひとつの根拠は、戦争の後、中国に残った軍人に中国は極めて紳士的な待遇を与えたことです。軍人の中でもひどいことをした45人だけには厳しい裁判を行いましたが、(そのほかの何千人もの旧軍人、捕虜は裁判もなく帰国させました。このような寛容な処遇は当然、多くの中国のひとびとの反感を買います。そのため、この寛容な処遇について人民会議で議論の上、承認を得て実施したのです。)死刑は避け、裁判終了の数年後には日本に帰国させたのです。さすが何千年の歴史の国はちがうな、と筆者は思いました。逆の立場だったら、日本はこのような対応をとれるでしょうか。そして、もしも過去の復讐で虐待、虐殺が起こっても、日本はそれに文句を言える立場ではないのだと思います。何100年経っても、被害を受けたほうは忘れることはないでしょう。立場を入れ替えて、韓国人、中国人になって考えれば、すぐに分かることです。「許すことはできるが、忘れることはない」のです。)

B.抵抗する(軍隊、ゲリラ戦で)

戦争になったら、どういうことになるのか。どこか自分から遠くのところで兵士たちが戦うだ、と思っていたら大間違いです。昔の戦争はちがって、戦争がはじまったら、もうすぐに自分の地域も戦争状態になるでしょう。1945年までの戦争がどんなだったかは、いろいろな資料があります。これからの戦争は、そのような過去の戦争とは全く違った、さらにさらに過酷、悲惨なものになります。

1945年までの戦争の民衆への影響についての資料は、

http://sensoutaiken.karou.jp/  とその中に紹介している資料、HPを見てください。

最近の戦争については、たとえば、「イラク 戦争 動画」、「シリア、戦争、動画」などで検索してみてください。かつては多くの人々が平和に楽しく暮らしていた大きな都市全体が廃墟と化しています。多くの人々の生活と命が失われるのです。被害は戦場、前線だけではありません。

上 東京大空襲  黒焦げの死体

上 廃墟となったイランの都市

上 シリアの都市

(この3つとも、インタネットからの写真です。検索すると動画も沢山出てきます。)

人々の暮らしと命を救うための戦争だったはずなのですが、その結果はどうだったでしょう。誇りと文化を守ることはできたのでしょうか。。。。。もしかすると、世界の平和のための戦争だ、と言っていたかもしれません。世界の平和のためになったでしょうか。

 

このような過去の経験を知って、あなたはどういう行動、政策を選びますか? なぐられたら、なぐりかえさなくては誇りを保てない、やられたらやりかえさなくては、という考えでいいのでしょうか。

 

13.これからの戦争はちがう

(このメモも長くなりすぎたようですが、、、

これからの戦争は、いままでの戦争とは全く違うものになるでしょう。イラクやシリアの戦争でも、1945年までの戦争とは全く違います。遠方の米国本土からゲーム機のような遠隔操作で遠隔操作の無人攻撃機がイラク上空から爆弾を落として多くのイラクの人々を殺したのです。巡航ミサイルも1970年以降のものです。どちらも、攻撃するほうは、自分が殺される危険なしに相手を殺す武器です。

さらに最近では、超小型のロボット、たとえば虫の「はえ」のようなドローンで殺したい人が飲んでいるコーヒーカップに毒を入れるというようなことがすでに可能になっています。相手国の政治を変えるのに、大規模な軍備は不必要なのです。相手国の都市の多数のビルを破壊したり、多くの人々を殺すこと自体を目的とする戦争は不必要になってきたのかもしれません。戦争に勝ったとしたら、ビルなどは残しておいて自分たち(攻撃した側のひとたち)が使いたいでしょうし。

いまごろ多くの戦闘機や空母を購入し、作ることは間違っていると思います。なんの役にもたたないでしょう。昔の1945年までの戦争では、日本は世界で一番大きな戦艦、「やまと」、「むさし」を作りましたが、出来上がったころには戦艦同士の大砲の撃ちあいの時代は終わって、戦闘機が空母を攻撃する時代になっていて、2つの超大型戦艦は何の役にも立たずに海の藻屑になってしまいました。

いま米国ではトランプ大統領で、いままでないほど乱れています。トランプは2016年の選挙の時にロシアの支援を受けたという疑惑を追及されています。もしも、そうだとしたら、ロシアは戦闘機も、ロケットも、何も使わずにアメリカ社会を混乱させ、アメリカが200年間積み上げてきた世界からの信用をぶちこわすという、どんな戦争をしても得られないような大勝利を得ることが出来たのです。もしかしたら、トランプはサイバー戦争の最初の大勝利(米国にとっては大敗北)の例なのかもしれません。そうです、今後のためには、戦闘機や空母のような武器を作り、購入することは、税金の無駄使いでしかないのです。

 

14.追加

なるほど、と思われた方もおられるだろうと思いますが、、、

「国内に外国の軍事基地があるなんて独立国ではない。」というような議論もあります。それを聞いてぐらっときますか?

1945年の敗戦以前は日本の領土だった4島(国後島、択捉島、歯舞諸島、色丹島)もロシア領になったままで、返還交渉は進んでいません。

東京の上空などの「空域」の管理権も日本は持っていません。米軍が上空を占領し続けています。米軍は日本のどこにでも、いつでも勝手に米軍専用の区域、空域を設定して、日本の警察などが入らないようにする権利も持っています。米軍のヘリなどは墜落したら、その周辺は直ちに米軍の管理地にしてされて日本の警察などは入れなくなります。

こういう状態を見て、「外国基地が国内にあるようでは本当の独立国ではない」という言い方は間違っていると思います。「誇り」と言う概念を引き出すからです。「本来日本人が住み、日本人が使い方を決めるはずの土地を外国の勝手に任せていることはおかしい。」、「日本の領土が狭くなっていることと同じだ。」、「基地周辺では外国人による暴力被害などが多い」という実質的なマイナス面をきちんと言うべきだと思います。

そして、このような戦争の結果を回復、解消するために軍事力を、ということは決してあってはならないことだと思います。解決は軍事力ではなく、叡智によるべきです。

どうしてこんなみじめな状態になったのでしょうか。1930年代からの軍国主義の結果です。こんなことを2度と繰り返したくないのです。

1930年前後から1945年までの日本を「美しい」と言い、「日本を取り戻そう」などと言っているひとびとがいることが信じられません。

現在の政権は、戦後70年以上もたったのに未だに日本国内に沢山残っている軍事基地など、日本がいまだに戦争の被害を受け続けていることは考慮しないのです。日米安全保障条約と日米地位協定によって、日本は米国の属国になると取り決められてしまったのに、それを是正しようと言うこともしていません。(それこそ誇りを捨てていることです。「誇り」という言葉は使いたくないのですが。―― 安保条約、地位協定で誇りを捨てておいて、他方で誇りを守るために軍をもたなければ、と言うことは自己矛盾しています。)

70年経っても、戦争はいまだにこんなに大きな傷を日本全体に残しているのです。ふたたび1930年代の日本に戻そうと言って、戦争の準備をする人々、団体の思考が理解できません。